岸岡智樹(きしおか・ともき)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属する現役選手。SO。1997年9月22日生まれ。178㌢、85㌔。大阪府出身。枚方ラグビースクール→蹉跎中→東海大仰星高→早大→スピアーズ。社会人4年目の社員選手。U20日本代表、ジュニア・ジャパン選出。学生時代からSNSをはじめ独自の発信を続ける。小中学生を対象に全国でおこなうセッションツアーは2023年で三季目。特製ラグビーノートを販売するなど、積極的な活動が注目される。
RCCA(Rugby Community Club Association)が伝えたいものは、たくさんあって一言ではちょっと表しにくい。だけど、そのメンバー一人ひとりのストーリーを紐解けば、コミュニティーの持つ空気や、バックグラウンドが見えてくるかも。彼らはどこから来たんだろう。何を目指しているんだろう。今回はクボタスピアーズ所属・岸岡智樹さんの活動レポートです(トップの写真は富山開催の模様)。
岸岡智樹のラグビー教室
東海1回/静岡・エコパ芝生広場
東北1回/岩手・鵜住居復興スタジアム
沖縄2回/21世紀の森ラグビー場&しおさい公苑
四国2回/香川・さぬき空港公園イベント広場、徳島・鳴門渦潮高校撫養グラウンド
関西2回/滋賀・八日市南小学校、兵庫・関西学院第2フィールド
九州1回/福岡・ミクニワールドスタジアム
関東2回/群馬・桐生大学グラウンド、山梨・御勅使南ラグビー場
北信越2回/富山・常願寺川公園ラグビー場、新潟・長岡ニュータウン運動公園
岸岡智樹のサマーキャンプ
北海道・コロポックルグラウンド(倶知安町)/1泊2日
長野・菅平プリンスホテル/2泊3日
セッョンの目的
ラグビーの楽しさを現役選手から学ぶ
ラグビーの地域格差の改善
ラグビーへの新たな携わり方の創出
現役選手の新たなキャリアモデルの創出
ゲスト一覧
静岡:日野剛志、家村健太(静岡ブルーレヴズ)
岩手:中村良真、山田龍之介(釜石シーウェイブス)
香川、徳島、沖縄:岡田一平(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
兵庫:人羅奎太郎(花園近鉄ライナーズ)、押川敦治(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、小林花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ)
北九州:金正奎、石井魁(浦安D-Rocks)
菅平:根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
群馬:侭田洋翔(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
2023年岸岡選手のセッションのあらまし
現役選手が開催する「岸岡智樹のラグビー教室」が、リーグワンのオフシーズンである6月から9月にかけて、全国のなんと14か所でおこなわれました。昨年実績は全国で9か所。今年の14のうち2会場では、昨年始まったキャンプ形式(宿泊イベント)を継続。各回に参加するゲストコーチもリーグワンプレーヤーなど豪華な顔ぶれでした。インタビューの前半は、菅平高原では初めて2泊3日にてキャンプを行なったことなど、今年のチャレンジについて聞きました。
「せっかくなので、すべての都道府県に行っておきたい。全国各地と『すべて』の違いは大きいですよね。今まででだいたい30か所なので、まだ半分くらい」
「あと2年ですね。確かにイベント数は、昨年よりもさらに増えました。沖縄や静岡では、キャンプ予定(宿泊イベント)だったものが日帰りになったり、残念なこともありました。その代わりに、分散して1日ずつやるためにスクール単位で指導をする機会がありました。自分たちにとっては新鮮な経験でした」
「地域格差という言葉時代が、ラグビーの場合は、まだ仮説の話です。自分たちで動いてリサーチしている、現状を感じ取ろうとしている面もあります。6月から10週間で14か所。どの回にもいろんな発見がありましたね」
「簡単に言うと、メニューを変えました」
「それは変わらないですね。なぜなら、それがスキルアップのために一番効果的だからです。ただ、過去2年の参加者からのフィードバックを見ていると、参加してくれている子どもや保護者のニーズが見えてくる部分もあります。せっかく現役選手が来てくれているので、もっとハイレベルなことを教わりたい、という」
「ですので、基礎基本のレッスンはそのまま残して、別立てで『アドバンス・コース』を作って、難易度を上げた。ただ、そこにばかり目を取られるんじゃなく、本来の部分を意識してもらえるよう働きかけました。従来の通常コースは受講をマストにして、アドバンスをオプションに」
「昨年までは、伝えたいことを通していました。どの方もわざわざ足を運んでくれているんですよね。ただ、ハイレベルとか、最新とか…もっと、もっとになって、キリがないのかもしれません」
「スタッフとは、無理がないように半年くらい前からオンラインでMTGを重ねて。ラグビー教室では、各開催地のコーチと協業するやり方をしているのですが、コアのコーチは大阪の人。私も加わって全国の人と準備を積み上げていきます。おかげさまで、(ラグビー教室の取り組みへの)認知度が高まっているなと感じます。指導者もそうですが、参加者にもリピートしてくれる方がいる。隣の県、その隣の県へと3回来てくれた人もいました」
「そうですね」
「付加価値として、もしそれがこのイベントにあるならいいなと思うのは、例えば行き帰りのクルマの中での会話ですね」
「多くの地区は、スポーツをする子はクルマ移動で、親が送り迎えをしますよね。イベントに向かう1時間、楽しさを振り返る1時間。子と親のコミュニケーションの時間が減ってると言われる中で、車内のその時間がまた充実したものになったら素敵だろうなと」
「出てきたアイディアはどんどん盛り込んでいるので…そうですね、今年は学生のインターンをプラスしました」
「はい。あと運営も、写真の撮影をする役割の人まで」
「面接なども行なって、結局3人でした。学生を採ってみようと思ったのは、年齢のこともありました。講習を受けている子は10歳。対してスタッフは、僕が最年少(26歳)と言うグループ。より受講者に近い若い人の目線や感覚があった方がいいなと」
「今年は、スタッフの数が増えました。手持ち無沙汰にしているくらいの人が出るように配置したんです。そうしたらお互いに周りが見えて、流れがスムーズになった。昨年は、そういう意味ではみんな、疲れていたのかもしれないですね。今年は、イベント回数も多かったけれど、僕の負担はだいぶ減りました。自分がいなくても、この事業が回るようにしたい」
(後編につづく)