「アフター マッチ ファンクションってなに?」
きょとんとしているのは、U13(中学1年生)どうしのゲームを終えた小さなラグビー選手たち。ラグビー合宿の聖地、菅平高原での出来事です。
7月24日、RCCAのサポートで、ジュニアラグビー(中学生の12人制ラグビー)の合宿中にアフター マッチ ファンクション(以下AMF)を行なってみました!小中学生のラグビーはこの2年、中止や延期が断続的に挟まった上、開催されても試合のみ!の大会がほとんどでした。「余計な」接触は避けられた結果、ラグビーの大切な文化であるAMFは多くの大会ですっかり姿を消してしまっていたのです。
「スパイクのいらないラグビークラブ」RCCAとしては、ちょっと気になるところ。そこで、練習試合ではあるけれど、多感な中学生たちにぜひ、AMFを体験してもらおう!と2チームに協力をいただいた次第です。感染には十分な注意を払いつつ、行ないました!
今回は赤いジャージーの小金井ラグビースクール(RS)と、ゴールドのジャージーを着たBBK(しながわバンブーRFC、文京RS、葛飾RSの合同チーム)のU13試合にお邪魔しました。
RCCAからは、メンバーの川原佑(たすく)レフリーが参加! イッソウさん(代表理事)、ミツタケさん(RCCAメンバー)も前夜に東京から駆けつけ、中学生の元気なプレーに見入りました。川原レフリーは、なんと後半の笛を吹かせてもらいました(日本協会A級のトップレフリーが、U13の練習マッチで…!小金井RSでレフリーも務める西山正人コーチ、大興奮です)。
さて、試合後です。
「え?アフター ジャンクション?」 なーんて言っている中学生たち。まずはあらためてAMFの説明を聞きました。――ラグビーの試合って、実はノーサイドの笛で終わるわけじゃない。まさに敵味方がなくなってから、次の催しがあるものなんだ。両チームの選手はもちろん、コーチやサポーターまでが入り混じって、仲良くなる「打ち上げ」みたいなもの――。中学生たち、それを聞いてちょっとリラックスしたようでした(きつい練習メニューが始まる、と思ってた子もいたらしくww)。
今回のAMFのプログラムは2つ。赤と黄色のジャージーが混じって4人で、相手チームの良かったところを伝えるミニトークが5分。次にキャプテンのスピーチの交換です。
ミニトークは思いのほか盛り上がり、2分、3分と延長してしまいました。RCCAのメンバーもトークに加えてもらい聞いていると、選手たちは、この間まで小学生だったとは思えないほど、いろんなポイントを挙げてくれていました。そのうち、相手チームがどんな気持ちでこの試合に臨んでいたか、自分達がどう映ったのかなど、話す前には気が付かなかったことが、お互いの頭に、胸に届いていきました。
「きょうは、ふだんやってないポジションに挑戦する日でした。だから、すごく緊張していて」。この日の小金井RSの両CTB(センター)は、普段はPR(プロップ)をやっているんだそう。全然そんなふうに見えなかったけれど、内心ガチガチ、だったんだね。でも、いろんなポジションを知るために、そんなチャレンジをしてたんだ…! やるなあ。自分にも、できるかなあ。
「アフター マッチ ファンクションというと、キャプテンが形式的な挨拶をして済ましてしまうことが多かったけれど」とは小金井RSの西山コーチ。「今回はいい時間になりました。(RCCAの)二人のお話も聞かせてもらえて良かった。こうした流れを、今後の交流でも採り入れていけたら」
会が終わる頃には、「相手チームと、ジャージーを交換してもいいですか」とコーチに尋ねる中学生もいました。短い時間で、互いの距離はぐっと近づきました。もう次会った時は、「元気?」って言い合えるね。
お互いに体をぶつけ合って、倒されて、起きて、走り合って。
そして試合後はこうして握手を交わすことで、「こいつら、なかなかやるな。それに、話すといいヤツだな」という気持ちが湧いてくる。そうだ、ラグビーって、ここまでがワンセットで「試合」なんだった……。みている大人も、気付かされることの多いセッションになりました。
話す前は、仲間うちで「俺たちは」「あいつらは」と勝ち負けに関わる話ばかりしていた中学生たち。AMFの後はお互いに肩を組んで、表情がスッキリしていました。
最後は、RCCAと川原さんから中学生たちにプレゼント贈呈、記念写真を撮って解散しました。
ラグビーには、試合が終わって始まるものがあるんだ。
合宿最後の試合だったこの時間は今までとちょっと違って、相手チームと一緒に作った思い出になりました。