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北川茉以子(RCCA事務局)「ここからフランスW杯へ。日本でまたみんなで歌える日を夢見て」
〜コミュニティの背景がわかる、RCCAメンバーのストーリー〜
2022.6.23
INTERVIEW

北川茉以子(きたがわ・まいこ)
1982年生まれ。東洋英和女学院から高校2年からカナダ留学、卒業。GAPYEARを経て、オーストラリアの大学、ビジネス学部専攻。芸能活動のほか、さまざまなプロジェクトで、通訳、広報、マネージメントを行なう。’05年「愛・地球博」VIPアテンダント、’05年ミスインターナショナル日本代表出場を経て、’07年ミスユニバースジャパン第4位。’12年に会社設立、自ら取締役社長を務めて、海外留学のエージェントを始める。同年(株)gift設立に参加、女性誌『DRESS』の編集、広告プランニング。’14〜’17年、モデルSHIHOのマネージングディレクター。’19年、ラグビーW杯のプロジェクト『Scrum Unison』メンバーに。’21年、トップリーグとリーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイのプロモーションに携わり、「東京2020」オリンピックとパラリンピックのスーパーバイザーも兼務。1男1女の母。

RCCA(Rugby Community Club Association)が伝えたいものは、たくさんあって一言ではちょっと表しにくい。だけど、そのメンバー一人ひとりのストーリーを紐解けば、コミュニティーの持つ空気や、バックグラウンドが見えてくるかも。彼らはどこから来たんだろう。何を目指しているんだろう。第6回は事務局を仕切る北川茉以子さん。

今回のテキストは北川さん本人のメモを抜粋してお届けします。元々雑誌編集にも関わった経験がある北川さんならではのスタイル! 北川さんは今回紹介するRCCA外のプロジェクトにとどまらず、ラグビーに出会うまでにもさまざまな分野を駆け抜けてきたキャリアの博物館。小中高と私立女子校に通い、世界を見たいと16歳でカナダの公立校に単身留学して以来、彼女だけの航路をたどってきました。ここにはとても書ききれないので、その全貌はご本人へ

さて、今回ご紹介するのは、さる6月11日に秩父宮ラグビー場で行われたトンガチームの国際交流チャリティマッチでのイベント「トンガ国歌斉唱」についてです。この試合、エマージング・ブロッサムズvsトンガ・サムライXVは、2021年1月にトンガで起きた火山噴火と津波災害に対する支援のため開催されました。そして試合前には選手とともにトンガ出身のレジェンド、Scrum Unisonメンバーと小学生らがトンガと日本両国歌を歌いました。2019年日本大会でも大会公式となったプロジェクト「歌で世界をおもてなし」活動をペースに、スクラム・ユニゾンが仕掛けたアクションの一つです。スクラム・ユニゾンは2019年後も各国のアンセムを紹介する動画づくりを続けていて、すでに100以上をアップしています。

Scrum Unisonはこの活動を2019年だけのものではなく、いつかまた、日本でワールドカップを開催し、また世界の国々を歌で迎えられる日を目指しています。こうした元気なアクションを一つひとつ祈りのように重ねて、活動の場を広げています。いま第一のターゲットはフランスワールドカップでまた、歌で人の輪を作ること。そこへ向かうリスタートのイベントが、このトンガ・チャリティーマッチでした。

「日本から復興目指すトンガへ ラグビーチャリティーマッチ直前、国歌合唱で届ける絆」

6月11日のチャリティーマッチを前に歌ったら、スタジアムに独特の一体感が生まれていました。当日の斉唱は、トンガと日本の人々の思いも託された特別なものになりました。

今回のプロジェクトの背景には、Scrum Unison事務局の北川(私)が、昨シーズンと今シーズン、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのプロモーション担当だったことがありました。

2019年に開催されたラグビーワールドカップで立ち上げた、Scrum Unisonの事務局としての経験がきっかけでリーグワン(トップリーグ)の事業に関わり、そこで多くの選手やファンの皆さんと交流する機会がありました。このチャリティマッチが決まったリリースを見て、トンガ国歌の動画を発信したい!と閃きました。

ファンも参加、ジャパンラグビー全体の発信に

コロナ禍は続いており、試合前にスタジアム全体で国歌を歌うことは難しい状況です。そこでSNSで動画を募集して、「選手とファンが一緒に歌う」動画をエールとして発信したい、と思いました。

すぐに私からScrum Unisonメンバーに提案して、動画の募集、動画編集の工程確認、選手への声がけを始めました。これに日本ラグビー協会が賛同してくださり、全24チームへ、この企画提案をしていただく機会をいただきました。

トンガ国歌は実は歌うのが難しく、またリーグワンもディビジョンの入替戦やプレーオフ前というタイミングでした。そんな中、ジャパンラグビー全体からのアクションになったことが嬉しかったです。

協会の声がけで最初に動画を送ってくださったのが、九州電力キューデンヴォルテクスのキャプテン山田有樹選手、石松大空選手でした。広報を通じ参加していただけたことでスムーズに進めることができました。

そしてトンガに縁のある選手が参加してくれたら、と密かに待っている中、トンガチームのコーチ、ロペティ・オトの息子、オト ジョシュア輝恵選手が参加してくれました。クボタを通じて出会った、三菱重工相模原ダイナボアーズのタウモハパイ・ホネティ選手、ルーキーの坂本駿介選手と服部航大選手も加わってくれました。

静岡ブルーレヴズ日野剛志選手は、静岡の試合後に会えたご縁で今回お願いしました。その後、日本ラグビー選手会(JRPA)会長に就任し、今回のNDSに選ばれて合宿へ参加中。貴重なタイミングで参加していただけたと思いました。また、お互いの行動力をもってこれから様々な活動をしていけると手応えを感じました。

その他、参加してくださった方は、2019年一緒にScrum Unisonのイベントを企画した自治体の担当者や参加していた中心メンバーです。リーグワンの試合会場で再会できた方もいます。メンバーの所属しているバンド、カルナバケーションもすぐに応えてくれました。個人としても、ラグビーのご縁に、改めて感謝する機会になりました。

来年2023年は、フランスでラグビーワールドカップが開催されます。ラグビー大国の強いラグビー愛を感じるために、フランスへ行く予定です。約1年前から、(株)東武トップツアーズがオフィシャルサポーターになり、観戦ツアー”SCRUM UNISON TOUR(仮)”を販売します。フランスで、日本人が対戦両国の国歌を歌い出すって、想像しただけでも楽しみ。1ヶ月以上、フランスに滞在するメンバーがどんな景色を見るのか、ワクワクしながら企画しています。

ラグビーの「入り口」を増やす架け橋に

リーグワンのチームだからできることとScrum Unisonだからできることがある。

今回のムービー作りは、それを掛け合わせたらどうだろう? という興味から、短期間に集中して形にしました。トンガ戦での両国国歌斉唱がScrum Unisonに決まったのも、動画募集を開始した頃でした。

2019年ラグビーワールドカップでトンガのホストタウンだった群馬県邑楽町の合唱団と、トンガのレジェンドたちと、一緒に練習会を実施しました。以前、トンガ国歌を披露した経験のある子どもたちですが、ラグビー観戦は初めてという子どもが多かったようです。

歌からラグビーを深く知るきっかけができた、このチャリティーマッチをより楽しむことができました。

オーストラリア留学中にラグビーが身近なスポーツになって、2006年の一時帰国中に出会ったのが廣瀬俊朗でした。2019年以降、公私ともにラグビーに携わるようになり、今は、純粋にラグビーが好きです。圧倒的努力でしか成し得ない、身体と魂のぶつかり合いにいつもパワーをもらっています。日常生活からちょっと抜け出せて、ゲームに集中していると熱くなれるスポーツ観戦。会場に集まっている人は、そんな感覚を共有できる仲間です。ラグビーは気持ちが何よりも大切で、それが周りにも伝わる競技だから特に、観ていて気持ちがいい。それを知ってもらうために、楽しんでもらうために、Scrum Unisonがあってもいいと思う。

2019年のレガシーの一つとまで言っていただけることもあるScrum Unison。主役はラグビーを愛する人たち、皆さんです。いつまでも皆さんとともに、世界中のラグビー選手にエールを送り続けていきたいと思います。


廣瀬俊朗が率いるスクラムユニゾン、ヤマハスポーツ振興財団から表彰

Scrum Unison Twiiter

Scrum Unison Webサイト

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